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2016年4月11日月曜日

セレクトショップ/バイヤーとは(everlasting sprout)







僕はお店を始めるまで、バイヤーという人間は「服に関する全て」を理解しているものだと思っていました。


生地を触るのみで混率が分かる、
パターンの意図が分かる、
縫製のレベルが分かる、
など。



よくよく考えると、そんなわけが無いんです。
ある程度の知識はもちろんあるかと思いますが、


糸のプロがいて、
生地のプロがいて、
パターンのプロがいて、
デザインのプロがいて、
縫製のプロがいて、
染めるプロがいて、
プリントのプロがいて、
販売のプロがいて、


多くのプロが関わるのが「服」というものです。


バイヤーは全てにおいてその分野の「プロ」には勝てません。


一つのことを追求している人間と同等の知識があるわけがないのです。






先日、everlasting sproutのデザイナー村松氏とこんなお話をしていました。



「今の時代、このニットを作れる人は日本に数人しかいない。
そこを拘って作っているのにも関わらず、それに気付くバイヤーはとても少ないんです。
デザイナーに話しを聞いて学ぶことすら放棄しているバイヤーが多い。」





バイヤーは、RPGゲームで言う勇者みたいなもので、どの分野にせよ一番にはなれません。


しかし、お客様に提案するアイテムの種類、数量の全てを決定する権利を持っている。





そのような状態で、ショップはどのようにセレクトするべきなのか。


もちろん、答えは無く、ショップそれぞれのスタイルがあると思います。




よく聞くのが、
「お客様の顔を想像する」

常連さんが何を求めているのかを考え、
このアイテムはこのお客様が買うからサイズはこれで、色はこれ、と決める感覚です。

長く店頭に立って、お客様との関係性も深いバイヤーの手法です。





また、「バイヤーの好み」というショップも多いです。

自分が着て欲しいもの、着たいものを品揃えする。
スタッフのいる店舗だと、スタッフと共にこの方法でバイイングしているパターンもあります。
この方法だと、より気持ちの込もったアイテムを、気持ちを込めて接客することが出来るので素敵な方法だなと思います。





オンラインショップが当たり前になっている現在では「データ」も大切です。
どのサイズを選ぶお客様が多いのか、この色とこの色だとどちらの方を好むお客様が多いのか。



実際のところは、上記3点の全てを考えてバイイングしているお店が多いのかもしれません。




ただ、これはあくまで商品単体に対するセレクトの話です。



それ以前に、「どのようにしてブランドをセレクトするのか」
ここがセレクトショップの基盤です。
当たり前ですが,,,,,



その答えを、僕は「デザイナーに対する信頼」だと考えています。


どのような服を作り、スタイルをつくるのか、

というポイントも必要ですが、それ以上に「人」です。


お客様はデザイナーに会うことの無い方がほとんどだと思いますので、あまり関係無いように思えるかもしません。


しかし、バイヤーにとって「デザイナー」の「人」を見抜かなければいけない。



デザイナーは冒頭で書いたように「デザイン」のプロです。

生地は生地屋には敵いませんし、
縫製も熟練の縫い子さんには敵わないでしょう。

その上で、デザイナーは生地を選び、縫製工場を選びます。

僕らショップ側に選択の権利はありません。


結論、デザイナーが「服」の全てを決めています。


だからこそ、デザイナーに対する信頼が必要不可欠なのです。



その値段は適正なのか、
工賃を安くするために縫製の重要性を無視していないか、
全てをデザイナーに一任しているわけです。

そして、デザイナーも糸や生地、縫製等を人に任せます。




このデザイナーに「任せる人」を見極める目が無ければエンドユーザーであるお客様に良品を届けることは不可能です。



服は人で出来ています。



糸から生地になり生地が服になるまでに関わる「人」


その「人」選びを

お客様は僕らショップに託し、
ショップはデザイナーに託し、
デザイナーは生地屋や縫製工場に託し、
生地屋もまた,,,,,,



「人」に託し託されの継続です。





僕らセレクトショップはデザイナーに託します。


そのデザイナーを「人」として信頼すること。


それが僕の考えるセレクトショップ/バイヤーの本質です。






一点のみアイテム紹介をさせて頂きます。



everlasting sprout
¥36,000+tax


一点一点全てのパーツを京都のニッターさんに制作頂いたeverlasting sprout渾身のニット。

everlasting sproutデザイナーの村松氏はブランドに加えてニット作家としての活動を行っており、ニットに対する拘りの強い方です。
その村松氏が他社に依頼してまで制作したアイテム。


家庭機編みという昔ながらの手で動かす編機を使用しております。




パーツの繋ぎ目も、リンキングミシンやロックミシンを使わずに、手で接いだり、編み目を拾って編み繋げております。

そういった縫製方法をすることにより、優しい表情が出て、より伸縮性に優れた商品として仕上がっております。


機械を手で動かして編んでいるため、機械的な均一な表情ではなく、手編みらしい温かみのある表情。






デザイナーから以下の内容が書かれたメールが届きました。





個人的な感想ですが、ニッターさんたちが頑張ってくれているため
商品のクオリティーに対して、お値段が非常に安いと感じる価格になっていると思います。
(マニアックなことなので、その辺りは 市場やお客様がお判断されることだと
思いますが、今回 こういった商品を作ることができて、ニッターさんはもちろん、作ることができた環境に感謝しております。)





デザイナーが託す「ニッター」に対しての信頼、そして熱い気持ちが伝わりました。



僕自身にはこのニットに対する適正価格やクオリティの異常なまでの高さを測ることは出来ません。

しかし、everlasting sprout村松氏の言葉通りの「名作」だと思っています。