こんにちは。
今までに不定期で綴ってきた
「何でお店を始めたんですか?」
というブログがあります。
何でお店を始めたんですか?
OVIE STUDIOの代表を務める僕が何故お店を始めたのか、
何故アパレルの中でも「セレクトショップ」を選んだのか、
開業に向けた準備や、
お店を始めて感じているやりがいまで。
書きたいことは大方書き終わりました。
次は、各ブランドの取り扱い理由や取り扱いまでの流れを綴っていきたいと思います。
OVIE STUDIOでアイテムを選んで頂いている皆様や、
今後セレクトショップを始めたいという方、
もしこのブログを気にして頂ける方がみえましたらお時間くださいませ。
1回目の今回は僕が始めてアポイントを取って展示会にお邪魔した
「Edwina Horl」について書いていきます。
その前に、
「そもそも展示会って何?」
「どんな展示会があるの?」
「どうやってアポイントを取るの?」
「取り扱いってそもそもどうやって決まるの?」
と言ったセレクトショップの基礎的な内容から。
「そもそも展示会って何?」
よく有名人の方がテレビやインスタグラムに書いている
「〜の展示会に行ってきました!」
のアレです。
お店に並ぶ約半年から1年前に新作が並ぶ「展示会」
セレクトショップのバイヤーはその展示会に行って、
ブランドにオーダーをすることで自店に並べる服を決定します。
「どんな展示会があるの?」
展示会には大きく分けて2種類
「合同展」
と
「個展」
があります。
「合同展」というのはその名の通り、幾つかのブランドが同時に一つの会場に並んでいる展示会。
幾つものブランドから自店に並べるブランドを見つけるためにバイヤーは参加します。
ブランド側は多くのバイヤーが集まる合同展で如何に自分のブランドをプレゼンするか、
如何にオーダーをもらうか、
を試行錯誤しながら参加しています。
如何にオーダーをもらうか、
を試行錯誤しながら参加しています。
僕のイメージでは比較的知名度の低い若手のブランドや、日本のマーケットに進出したい海外のブランドが参加しているような感覚。
「個展」はブランド自身で1つの会場を借りて、自身でバイヤーに声をかけて開催される展示会。
空間から演出したいブランドや、既存の取り扱い店向けに行うブランドはほとんど「個展」です。
OVIE STUDIOのブランドのほとんどの展示会形式がこちらの「個展」
「どうやってアポイントを取るの?」
「合同展」は基本的にアポイント不要です。
セレクトショップを営んでいると合同展主催の企業から招待状が届くこともありますのでそちらの招待状を持っていけば入れます。
セレクトショップを始める前の段階でしたら、参加したい合同展に事前に問い合わせフォームから(もしくはメールで)連絡をすれば招待状が届くケースが多いかと思います。
少し裏技チックにはなりますが、招待状が無くても入り口で名刺を渡せばさらっと入れることが殆どです。
セレクトショップを始める場合、名刺は先に作っておいた方が賢明です。
「個展」はアポイントが必要です。
ブランド自身で開催している展示会のため、アポイントも直接ブランド(デザイナー)に、もしくはそのブランドの営業担当に取ります。
殆どのブランドがHPを構えているのでそのHPに記載の電話番号に電話をする、もし電話番号の記載がなければ問い合わせフォームから新規取扱願いの連絡をする流れがメイン。
ただ、意外とHPを持たないブランドも御座います。
今の時代ですとtwitterやinstagramアカウントだけある、というブランドにはそのDMから、というのもアリかと思います。
余談ですが、僕は取り扱い希望のブランドの衣服についている洗濯表示から電話番号を得ていました。
法律で洗濯表示に「住所または電話番号」の記載が義務付けられているようなのでこの方法で連絡先を得れる可能性が高いです。
「何で電話番号知ってるんですか?」
と電話の際かなり驚かれますが、良くも悪くも印象に残るのは間違いないので一つの選択肢としてご検討ください。
「取り扱いってそもそもどうやって決まるの?」
基本的には展示会に行ってお話をして、お互いの条件が合えば決まります。
この「お互いの条件」が中々豊富でややこしいので今後のブログで少しずつお話ししていきます。
前置きが長くなりましたがここからが本題。
「何でEdwina Horlの取り扱いを始めたんですか?」
OVIE STUDIOでは2014SSシーズンから今シーズンまでの12シーズン(約6年)並び続けているEdwina Horlとの出会いから取り扱いに至るまでのお話しを。
Edwina Horlとの出会いは僕がセレクトショップ開業のための旅をしていた時でした。
僕は一度もセレクトショップと言われる企業に勤めたことがありません。
右も左もわからない僕は先ず本を読みました。
「ファッションのお店の開業から運営まで」
「Q & A セレクトショップバイヤーになれる」
「セレクトショップ運営入門」
今でもOVIE STUDIOに置いてあります。
感想としては、
「ざっくり勉強にはなるが、具体的なことは分からない」
です。
「ファッションのお店」はもちろん、「セレクトショップ」とか「バイヤー」ってものすごく幅広いですから、よくよく考えたら当たり前ですよね。
この3冊を1日で読んで、
「うん、直接やってる人に聞きに行った方が早いな」
とすぐに行動しました。
約一ヶ月ほどかけて本州をざっくり一周。
その時にお話を聞きにお邪魔したセレクトショップでEdwina Horlと出会いました。
デザイナーであるエドウィナホールがYohji Yamamotoで勤めていた経験を持っていて、僕の好きな方向性の衣服を作っている。
OVIE STUDIOのコンセプト「着る人によって変わる服」にもマッチしている。
その旅を終え、僕は「取り扱い希望リスト」を作りました。
自分が始めるOVIE STUDIOに並んでいてほしい、お客様に提案したいブランドのリストです。
この時の僕はあまりにも無知で、
「取り扱い希望を出せば自分のお店に並べることが当たり前のようにできるもの」
と考えておりました。
文系の大学を卒業して、量販店向けの婦人服メーカーの営業をしていた僕にとって「セレクトショップ業界」は無縁の世界です。
お店に行って、
「これを買います」
と言って断られることが無いように、
展示会に行って、
「仕入れさせてください」
はすんなり通ると考えていたのです。
そのため、「取り扱い希望リスト」とは名ばかりで、「僕のお店で提案するブランドリスト」のような感覚でリストを作っていました。
このリストにEdwina Horlを入れていました。
OPEN(2014/2/22)の約半年前、展示会シーズン。
当時、Edwina Horlのプレスを担当していたショールームに電話をかけ、
お店を2014年春夏シーズンに名古屋で始めること、
Edwina Horlの取り扱いを希望していること、
諸々を伝えました。
展示会の日程と場所を伺い、この日のこの時間にお邪魔します、と伝えアポイント完了。
セレクトショップを始めると決めてから初めてのアポイント。
電話の段階でかなり緊張したのを覚えています。
いざ、展示会の当日、フォーマルなセットアップを着用して東京へ。
渋谷のカフェの一角が展示会会場でした。
「初めまして、~時アポイントの吉田です」
この時、最初に名刺交換をさせて頂いたのが後に「ESSAY」を立ち上げることになる竹井氏。
「何で取り扱いを始めたんですか?」のESSAY編で詳しく書かせて頂きます
竹井氏は僕が現在(2019年)までに数多くお話させて頂いたブランド関係者の方々の中でダントツにテンションの高い方です。
ただ、僕は初めての展示会で、初めての名刺交換。
当時は、
「ブランドの人ってこんなにテンション高いんだ」
となりました。
圧倒されながらも竹井氏とEdwina Horlの衣服を見ながらお話を進めます。
この時、僕は一切笑いもせず真剣にお話を聞きながらひたすらにEdwina Horlの新作の随所を見ていました。
10~15分後、衣服の説明や取り扱いについて竹井氏とお話を進めていると、
「君、ちょっと」
とある男性に声をかけられました。
名刺交換をさせて頂くと、
Edwina Horlをセレクトショップに卸すかどうかをジャッジするショールームの社長の方(T氏)でした。
「場所を変えて話そう」
と言われ、展示会場を出て近くのカフェへ。
僕の経歴やセレクトショップを出すことに至った経緯、今後のプランを聞かれ、精一杯答えました。
2時間ほどしっかりとお話しした後に、
「今の段階では君と仕事はできない」
と伝えられました。
「24歳では早すぎる」
「一度どこかのセレクトショップで働いた方が良い」
「今のまま君がセレクトショップを始めても先は見えている」
多くの厳しいお言葉を頂きました。
お話しを終え、展示会場に戻ることも出来ず、そのまま名古屋に帰りました。
目の前が真っ暗になるとはこのことだな、と。
帰路の記憶が一切ありません。
「取り扱い希望を出せば自分のお店に並べることが当たり前のようにできるもの」
という僕の安直な考えはすぐに崩れ去りました。
今思うと、「確かに」と腑に落ちます。
大学を卒業して、2年間のサラリーマン経験(メーカー営業)のみを経験値に、セレクトショップを始める24歳。
無謀です。
当時、日本中のセレクトショップをインターネットで検索して、可能な限り会いに行きましたが、僕より年齢の低い代表は一人もいませんでした。
多分、似た形のセレクトショップでは最年少だったのではないでしょうか。
Edwina Horlの取り扱いが叶わなかった時点で、僕の「取り扱い希望リスト」は崩れました。
加えて、僕はまだお店を始めるべきじゃないんだ、という考えもちらつくようになりました。
しかしながら、そのようなマイナスな思考とは裏腹に、「悔しい」という感情も大きく芽生えるのが僕の性格。
当時、2013/9/16に僕がT氏(社長)に送ったメールが残っていました。
このメールに対して非常にありがたいお返事をいただいております。
メール本文の「また会えるとき」は5年後とか10年後のお話だとは重々理解しながらも、
OPEN予定日(2014/2/22)を変更しないことを決め、「取り扱い希望リスト」の他のブランドの展示会(ETHOSENS/My Beautiful Landlet)にアポイントを取りました。
ETHOSENS/My Beautiful Landletのお話もまた後日。
そこから可能な限り、多くのお店の人に話を聞いたり、店頭に立たせて頂いて接客をさせて頂いたりを繰り返しました。
何とか、若輩者の僕に取り扱いをOKしてくださったデザイナーの方々のおかげで何とかOPEN予定日通りにOVIE STUDIOをOPENすることが出来ました。
OVIE STUDIOのOPENが2014/2/22。
つまり2014年春夏シーズン。
Edwina Horlの取り扱いスタートも文頭に書いた通り、2014年春夏シーズン。
おかしいですよね。
しっかりと取り扱いはできないと断られたはずなのに。
2014年3月頃、次のシーズン(2014AW)の展示会が行われました。
どうしてもEdwina Horlの取り扱いを諦めきれなかった僕は、再度連絡をしました。
「お店をOPENしました」
「2014AWの展示会に伺いたいです」
ざっくりですがこう言った内容。
何とかアポイントを取ることができ、前回同様カフェ横の展示会場へ。
就職活動の自己PRばりに伝えたい内容をしっかり考え、準備に準備を重ねて挑みました。
展示会場の扉を開けると早速、T氏(社長)がみえました。
「お世話になります」
一言挨拶をすると
「お店始めちゃったんだったらもう応援するしかないね」
「一緒に頑張ろう」
とお話しいただきました。
Edwina Horl 2014AWコレクションの取り扱いが決まった瞬間です。
今でもその時の光景、お言葉全て覚えています。
Edwina Horl 2014AW コレクション
「SEX」
この時のコレクションが印象に残りすぎていて今だにEdwinaの展示会でお話ししています。
14AWコレクションの作品を一点一点、3時間ほどかけて見て、写真を撮って、後日オーダーを提出しました。
その後、
「14SSの在庫が少しあるので、14SSから始めますか?」
とご提案頂き、結果としてOVIE STUDIO OPENシーズンの2014SSからEdwina Horlを皆さまに提案できることになりました。
これが僕がEdwina Horlと出会い、OVIE STUDIOに並ぶまでの経緯です。
意外とセレクトショップがブランドの取り扱いに至るまでの流れって分からないかと思います。
こういったことを書くことによって、僕たちOVIE STUDIOがどのような気持ちで1ブランド(Edwina Horl)をセレクトし、お客様にお届けしているのかが伝わったらいいなと考えています。
もしこのブログをこれからセレクトショップを始めようとしている人が見て、何かプラスになったら嬉しいなとも思います。
余談ですが、1~2年後、僕がビーチサンダルにワイドパンツ、カットソー1枚で展示会周りをしていた時T氏(社長)に再会しました。
「初めて会った時、カチッとしたスーツで怖い顔して服を見てて、ちょっと違うなと思ったけど、かっこよくなったじゃん」
とお褒めいただきました。
当時の僕は
[最初のご挨拶の時はスーツで行かないと]
[服を見て選ぶのが仕事だから笑うことなく真剣に見ないと]
という考え。
もうOVIE STUDIOを初めて6年目になり、100以上の展示会を回りましたが確かにスーツの人なんていないし、怖い顔の人もほとんどいません。
今の僕は誰よりも楽しそうに展示会で服を見て、誰よりもデザイナーの皆様と楽しく会話をしている自信があります。
今でもサンダルで展示会回りをしています。
それにしてもT氏(社長)の
「お店始めちゃったんだったらもう応援するしかないね」
のお言葉がかっこよすぎる。
間違いなく、僕がセレクト業界で尊敬している人の一人です。
今の僕がいるのはT氏(社長)のおかげです。
今後ともお世話になります。
宜しくお願いいたします。
次のブログではETHOSENSのお話しを。
おやすみなさい。
OVIE STUDIO(オヴィエスタジオ)
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